| 1)製造人件費 |
・現在、日本において製造に要する、直接人件費を明確にする。
・中国進出において、想定される人件費を調査する。 |
現在、上海における平均収入は約1,400元(約21,000円)と発表されています。現場作業者(ワーカー)の場合は、800〜1,000元(12,000〜15,000円)、エンジニアーは1,500〜2,500元(22,000〜38,000円)と、言われていますが、25〜30%の諸費用(保健等)も必要となります。人件費は進出の地域・雇用形態によって異なり、進出予定地での現地調査を充分に行う必要があります。
また、日本とのメリットを検証する場合、中国における生産効率を考慮しておかなければなりません。日本で10人必要な仕事量が中国では20〜30人必要となるこも珍しいことではなく、個々の企業の製造方法によっても異なり、単純に1対1で人件費比較を行うのは危険なことです。マスコミ報道等による人件費(1/20)で単純にコスト削減を想定すべきではありません。
さらに、日本のように作業者の仕事に対する責任感はあまり望めず、創意工夫や臨機応変な対応は期待できないことにも、充分な留意が必要です。
中国では指示されたことは実行するが、それ以外は手を出さないのが一般的です。「これぐらい、言われなくても解るだろう」は、通用しません。
直接人権費の比率が総コストの30%以下の事業では、コスト削減を目的としての中国進出はメリットが小さくなると思われます。 |
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| 2)購入部品費 |
・現在、日本において製造に要する、購入部品費を明確にする。
・中国進出において、現地調達可能な購入部品費を調査する。 |
現在使用している購入部品の現地調達が可能か、その場合のコスト・性能・品質・生産量・アフターサービス等々、充分な現地調査が必要です。
日本企業が中国で製作している部品の調達も可能ですが、この場合日本の価格の70〜80%で、台湾系は約50%、中国ローカルで10〜30%です。
特殊な部品が必要な場合は、中国企業と時間をかけて共同開発の行うことも検討すべきです。こちらが誠意を持って技術情報を提供すれば、中国企業も協力してもらえるチャンスもあります。(弊社では、中国の半導体メーカーと共同で、耐電圧5KV、サージ電流30KAのサイリスターを開発しました。)
技術情報の流出を恐れて、現地化を怠ると、コスト削減が僅かなものとなり、競合他社に先を越されることにも、なりかねません。
日本から部品を持ってきた場合、20%以上の経費(プラス増値税17%)が掛かり、コストアップになることにも留意が必要です。50%以上の現地調達が困難な業種では、中国進出のメリットはあまり無いと思われます。
いかに使用部品の現地化を進めるかが、中国進出の最大の課題となります。中国では、まだ商社機能が活用されておらず、現地調達のための情報収集は極めて困難です。最近は産業広告紙も出されるようになりましたが、正確な情報は展示会や企業訪問で時間をかけて調査しなければなりません。
購入部品の情報収集を、「設立した後でゆっくり行う」考えは、捨てた方が懸命です。設立後の情報収集は、工場の稼動が出来ず、進出前の数倍・数十倍の費用が発生することを認識しておく必要があります。 |
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| 3)材料原価 |
・現在、日本において製造に要する、材料原価を明確にする。
・中国進出において、現地調達可能な材料を調査する。 |
| 現在は中国でも多くの材料・資材の調達が可能になりましたが、部品と同様に日本製を使用すると、日本より20%以上のコストアップとなります。 |
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| 4)外注加工費 |
・現在、日本において製造に要する、外注加工費を明確にする。
・中国進出において、現地調達可能な外注加工費を調査する。 |
日本では、外注協力工場に困ることは殆どありませんが、中国ではこの協力工場の問題が部品の現地調達と同様に大きなの課題です。保有している設備の制度も低く、技術レベル・仕事に対する意識も高いとは、言えません。時間をかけて、育てる気持ちも必要です。
上海では過去数年15%近くの経済成長が続いており、外注先・協力工場は不足気味な状況です。買い手市場のため、進出前に依頼していた外注先が、期待通りに動かないことも考えられます。3ヶ月前の情報は通用しなくなると、認識すべきです。進出前であっても、情報交換等の継続性が重要となります。
中国進出の日系企業の外注コストは、日本の約70%、台湾系50%、ローカル企業10〜30%程度で、精度や品質別に外注先を選択することが肝要です。 |
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| 5)設備償却費 |
・現在、日本において製造に要する、設備償却費を明確にする。
・中国進出において、現地調達可能な設備を調査する。 |
設備を日本から持ち込むか、現地調達にするかで、大きなコストの違いが生じます。現地調達の場合は性能・生産能力にも留意が必要です。
生産品の精度等が優先される場合は、日本から設備を持ち込んだ方が無難ですが、高級な設備ではオペレーターやメンテナンスの問題も発生します。償却が終わった設備や中古機械の日本調達等の設備を持ち込むことが出来れば、償却コストは少なくなります。中古設備の輸入(持ち込み)は許可が必要です。独資でない場合は、その設備の評価が問題となります。 |
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| 6)施設管理費 |
・現在、日本における工場費用等の施設管理費を明確にする。
・中国進出における、現地の工場費用・施設管理費を調査する。 |
| 中国における工場賃貸費・建設費は進出の地域・形態・規模で異なり充分な現地調査が必要です。上海市内での工場賃貸費は約250〜400円/uで、市外では20〜30%安価となります。購入費(50年使用契約権)は、新築工場では賃貸費の10年分に相当するのが一般的です。 |
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| 7)エネルギー費 |
・現在、日本における生産に要するエネンルギーコストを明確にする。
・中国進出における、現地のエネルギーコストを調査する。 |
| 中国における電気等のエネルギーコストは、日本と大差はありませんが、これも地域性があるため、現地調査が必要です。相対比較としてエネルギーコストは高く、生産に多くのエネルギーを必要とする産業は、中国進出のメリットはありません。(ガソリン代は日本の約50%) |
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| 8)製造管理費 |
・現在、日本における生産に要する製造管理費を明確にする。
・中国進出における、現地生産に必要な生産管理費を想定する。 |
中国進出における経費で最も留意しなければならないのが、駐在員の費用で、これが管理コストの大きな負担となります。企業の規定にもよりますが、上海における駐在員の費用は1,500〜2,000万円/一人・年が必要となります。
多くの中国進出日系企業(量産品製造)では、ワーカー200〜250人に対し、一人の駐在員が派遣されております。この時の駐在員のコストとワーカーの費用がほぼ同額となります。従って、いかにこのコストを少なくするかが、中国進出のメリット(事業利益確保)の成否を握ることとなります。
事業推進における、日本との意思の疎通や、品質の確保のためには、駐在員の常駐は避けることが出来ない問題です。駐在員をおかず、事業の成功をしている企業もありますが、これには中国での長い経験と、工場責任者のローカルスタッフとの強い信頼関係が構築されて、始めて実現することです。
進出前から駐在員を常駐させないことを想定して、計画を立案することは、極めて危険な冒険です。現在、上海においては、日本人の現地採用も可能で、この場合のコストは駐在員と比較して20〜30%にすることも可能です。 |
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| 9)その他諸費用 |
物流コストは、中国で生産し日本に送る場合の費用で、折角コスト削減を実行しても、この費用がそれを帳消しにしてしまう場合もあります。生産数量や輸送規模を考慮して、このコストが問題とならないか検証する必要があります。
中国の貨幣である人民元は、米ドルにリンクしており、為替の変動は中国進出のリスクの一つとなります。中国に部品を供給する場合は円高を想定し、中国から製品を輸入する場合は、円安を想定しなければなりません。
また、中国での事業展開では進出先によって、日本では考えられない費用が発生することがあります。そして、その多くは進出後に気づく(知らされる)場合があり、これが中国との信頼関係を損なう大きな要因となっております。
これを回避するには、進出前の情報収集が重要で、疑問点・不審点は全て明確にすることが肝要です。中国の現地調査を行う場合、現地案内人・コンサルタントの中には、都合の悪い情報は伝えないことも多々あり、問題が発生すると、中国の習慣として片付けられる場合もあります。
正確な情報を得る場合は、必ず複数の情報入手ルートから検証することが必要です。進出後に発生する問題は、往々にして後を引き、計算出来無い交際と出費が継続することとなります。 |